今日は、78日間の病院生活の中で読み込んだ幾冊かの本の紹介をさせていただきたいと思います。
当初、「よっし、この機会に『鬼平犯科帳』全24巻をもう一度読み直そう」と一念発起して娘に頼んで、文庫本の新刊を全巻買ってきてもらいました。
その時に、同時に持参してくれた本が、知花敏彦先生の『宇宙に徳を積む生き方』という60頁の小冊子と、月刊雑誌『致知』2冊でした。
もちろん、本を読みたいなあと思えるようになったのは、大げさではなく、死期を脱して小康状態になってからでしたが、最初に『鬼平犯科帳』の第1巻を読み始め、何話かに差し掛かった時、
(待てよ。この得難き機会に娯楽小説なんか読むのは、もったいないぞ)
との思いが沸き起こり、知花先生の本に移ったのでした。
すると、いきなり「奉仕とは犠牲です。犠牲とは損をすることです」という言葉が飛び込んでまいりました。
以前から、どうしても腑に落ちないフレーズであったのです。
ところが、最後まで読み通し、再読し、三読しているうちに、畏友・斎藤信二さん(高木書房社長)が時々、
「先日、皇居へご奉仕に行ってきましたよ。」
と嬉しそうに話題にしていたことが思い出されてきたのです。
その時の斎藤さんは、まさしく幸せそのもののようなご様子であったことを思い出し、その瞬間、知花先生のおっしゃっている真理が、初めて理解できたのでした。
亡き妻をはじめ長女次女が生前の知花先生に心酔して師事していましたし、長女などは、知花先生を慕ってボリビアまでも行き、そこで二年間過ごしてきたという家族の環境でありながら、私は、いまだに知花先生のご本をまじめに一冊丸ごと読んだことが無いのです。
何十巻とあるビデオやCDも、ただの一度も視聴したことが無かったのでした。
それが、人工呼吸器を据えられるほどの肺炎を経験(後日分かったこと)したことで、何かが吹っ切られたのだと思います。
次に感動させられ、これも二度、三度と読み込んだのが、これも長女が持参してきてくれた『ドクターと牧師の対話』という本です。
石井希尚さんというお医者さんと吉野敏明さんという牧師さんの共著です。
これまた、随所に目からウロコがポロポロ落ちる思いで読ませられました。
次に、二度通して読んだのが、村上和雄さんの『生命の暗号』①②です。
雑誌『致知』誌上で長い事連載記事を読んでは来ていたのですが、こういう境遇で、じっくりと読んでみますと、村上和雄という人間のとてつもないドでかさが、ひしひしとわかってまいりました。
そうしているうちに、田中真澄先生から97冊目の新刊が自宅に届いたというので、持ってきてくれました。
『良き習慣が創った私の人生』というご本です。
田中先生とは、高木書房の斎藤社長さんを通して知己を得ておりまして、ご出版の度にご本をいただいてまいりましたが、通り一遍のお礼をするだけで過ごしてきたという経緯があります。
ところが、この新刊を読ませていただいて、何度、脳天をどやしつけられたことか。
大げさに言えば、今まで私が会社の社長としてやってきたことは、やることなすこと、すべてが、田中先生のしてこられたことの真逆な事ばっかりだったということが、いやというほどわからせられたのです。
一読後、斎藤さんにお電話して、退院したら、直接田中先生のところに参上してお礼を述べたいので、ぜひ、ご同行してほしい旨をお話ししましたら、斎藤さんはすぐに田中先生にこの旨をお伝えしてくださったのです。
11月19日に退院できたので、12月中にはお伺いしたい旨を斎藤さんにお願いしましたら、田中先生と斎藤さんのご両人の都合がよい日が12月9日だということで、この日には、這ってでも上京しますと、斎藤さんに連絡したのでした。
ところが、この日には田中先生の方から「縄文環境開発の東京事務所」(斎藤さんの会社)においで下さるというご連絡が来たというのです。
全く持って、恐縮至極のことです。
ありがたさに伏し拝みながら、9日には西日暮里の斎藤さんの会社へ参上いたします。
もう一冊、これはメルマガ読者の希望者にプレゼントしたいと思い、とりあえず50冊注文したほどに、感動、感涙させられた畏友・野田将晴氏の『人種差別と植民地時代に幕を下ろした日本』という労作で、60頁余の読みやすい体裁の本になっています。
野田氏は、つい先頃まで熊本県天草市の通信高校の校長をしておられ、その間に『教育者は、聖職者である』『高校生のための道徳 この世にダメな人間なんて、一人もいない』を上梓しておられます。
送られてきた本は、戦後のGHQにより洗脳させられてしまった日本人の魂を、心の底から目覚めさせてくれる内容で、ご本人の体験をもとに書かれていますので、説得力抜群です。
そんな本なら読んでみたいなあ、と思われる方はメールでご一報下さい。日本人として生まれてきたことに対して、誇りを呼び戻してくれる、そんなご本です。
国立病院からリハビリ専門病院へ転院した際に、国立病院に持ってきてくれた本は全て、家に持ち帰ってもらったのですが、うまい事にお世話になった5階の談話室に、なんと『鬼平犯科帳』の文庫本がずらりと並んでいるではありませんか。
気分的にも軽くなって来ていたこともあって、早速読み始め、10日間の入院中に9巻まで読み通すことが出来ました。
久方ぶりに、人間味あふれる「鬼平さん」を満喫できました。
そんなわけで、気力の方はほぼ100パーセント回復していると思われますが、体力の方は、まだ80パーセントくらいです。
毎日の生活そのものが「リハビリ訓練」と心得て、体力増強に努めています。
ありがとうございます。
2021年12月2日