第44号 食い物にされる高校球児「高野連」は万死に値する 

ついに、と言うか、ようやく と言った方が私にはぴったりするのですが、大手マスコミの一端を担う、月刊雑誌『正論』が、表題のようなショッキングな(大方の日本人ならそう思う事でしょう)特集を組みました。

私は30代の教職現職時代から今日に至るまでの40数年間、何度も、何度も「スポーツ神話を斬る」と題して、本に書いたり講演で話したりしてまいりました。
一昨年出版した『全ては、宇宙が教えてくれた』の本にも「粗末な小屋でも、柱は4本必要だ」というタイトルで、スポーツ礼賛、スポーツ偏重の現代日本社会に真っ向から斬り込んでいます。

先週、購読している産経新聞の紙面広告にこのことを発見して,書店に飛んで行って買い求めて、むさぼり読みました。
実に33ページにもわたっての特集記事で、どの記事も長年にわたって私が訴え続けて来たことを、何人もの方々が記名入りで書かれています。

参考までに列記してみます。
純資産17億円 「高野連」は万死に値する 作家・ジャーナリスト門田陸将
感動あおるメディア            元プロ野球選手 大野 倫
高野連と報道の無知 健康そっちのけ  スポーツジャーナリスト 氏原英明
休養日が必要だ             スポーツ整形外科医 守屋秀一
誰のための高校野球か        東京大学アメフト部監督 三沢英生
朝日新聞に問う 教育とは何か       大和大学専任講師 岩田 温

これらの記事の中の岩田氏の指摘は、まさに私が数十年間叫び続けて来た内容に重なり、特に共感を得た記事でした。

「朝日新聞とNHKは、知ってか知らずか、“甲子園”と言う彼らのいうところの“錦の御旗”を振りかざし、日本人の古き良き精神構造を、根こそぎぶっ壊してしまった。
家族そろってのお盆のお墓参りの場を日本中の各家庭から奪い、今日の日本の繁栄のいしずえを築いて散華した、数多の英霊たちの御霊に首を垂れて感謝する崇高な精神とその瞬間を忘れさせ、葬り去ってしまった。」
私の「甲子園礼賛」に物申す根底には、以上のような義憤があるのです。

さらには、今日の日本の経済が抱えている負の部分の大半は、「スポーツ神話」にその原因があるのだ、と叫び続けているのです。
今日の平均的精神構造の日本人一人が、スポーツにかける時間、労力、お金を集計すれば、莫大な数字が現れます。
「若者の貧困化」という問題も、マスコミやネットにあふれていますが、一家族が「浪費」するスポーツ関係の出費を半分ほどに控えるだけで、一気に解決の方向へ進むと、私は常々思っているし話題にも乗せているのです。

若者の労働力不足が叫ばれて久しいですが、土曜日曜の早朝からそれぞれのユニフォームを着て学校や練習場に向かう若者たちの、その労働力のもったいなさ!
高校の各部の練習試合と称して走り回る、専用のマイクロバスや大型バス。横っ腹に書かれている○○高校△△部父母会などの文字を見るたびに、私は、時間と金がもったいねえなあ、とため息が出るのです。

日本中のどんな片田舎にも、その自治体の懐具合には似つかわしくない、豪華なスポーツ関連施設が立ち並んでいます。年に何回使うかわからない小さな野球場にはナイター施設も珍しくありません。

「芸能とクイズとスポーツをその国に蔓延させれば、我らは手を下さなくとも、その国は正当な判断力を失い、自ら亡んでゆく。」
「スクリーンとセックスとスポーツの三つのSを流行らせれば、強靭無比の日本人の精神構造も、やがて自ら崩れてゆく。」

私は今までに何度もこの事を書いたり話したりして警告を発し続けて来ましたが、この二つの超心理作戦があったことを、改めて書いておきたいと思います。

「過ちに気がついたら、原点に帰りなさい。」
とは、かの森信三先生の教えの一つです。
今回の帰るべき原点は、先の大戦がはじまる70数年前にいたしましょう。

今からでも決して遅くはないのです。
決意して持続するためのコツは、
「一瞬の決意と、三日のがまん」

人間は、 「思った通り」(想念)の人間に育つのだそうですよ。

ありがとうございます。

木村 将人